Alpine Yudini

クライミングやスキーの記録を書いていきます。

パタゴニア・マイクロパフフーディーを極限の環境で使ってみた

ギアやジャケット選びは、登山やクライミングの最も楽しい部分の1つである。

 

実際、自分が最初に登山を始めたきっかけの一つに、「カッコいい道具を山で使うために、その道具が恥じないような山を登れるようになりたい」という動機もあった。

 

f:id:yudaiclimbing:20181029234234j:image[ 上写真:ニッポニーノのビバーク地にて最後の昼寝を楽しむ Takemi Suzuki と、お世話になったマイクロパフフーディを乾かす Yudai Suzuki ] (アルゼンチン、フィッツロイ山群)

 

極限の状況では、どんなモノを持っているかで登れる山も登れなくなってしまう。暖かいジャケットを忍ばせている安心感、手持ちの安全確保に使うギア(道具)の充実度は、心の余裕や自信に繋がり、結果的には登山の成功率、安全性に大きく関わるのだ。

 

しかし、何でもかんでも持って行ってては、背中のザックは重くなるばかりで、無駄な体力を使ってしまう上、難しい箇所を登る際に邪魔で仕方がない。

 

一方、決して極限ではないハイキングのような登山、ましては旅行や観光でも、軽くてコンパクトで暖かいジャケットは正義であることは間違いない。

 

と、ありがちな前置きはここまでにして、今日は現在市場にあるインサレーションジャケット(ダウンや化学繊維を使った防寒着、通称:パフィー)の中で、群を抜いた最高傑作とも言える、パタゴニアマイクロパフフーディーをレビューしたい。

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パタゴニア  マイクロパフフーディとは?

 簡単に説明すると

 

1、重量(264g)に対する保温性が、他社含め世界最高レベルなジャケット

体感として、5度程度の気温では長袖の上に一枚羽織れば十分暖かく、-5度でも、長袖、薄手フリース、マイクロパフで十分な暖かさ。同パタゴニアのメンズウルトラライトダウンフーディ(298g)と単体で比べても、体感で1.2倍程暖かく感じる。

 

2、化学繊維のインサレーションなので、濡れてもダウンのように冷たくならない

羽毛を使用しているダウン製品は一度濡れると、その日のうちに乾かすことはほぼ不可能な上、羽毛が縮んで暖かさが急激に失われる。しかし、マイクロパフの中に使用されている化学繊維は濡れても保温性を体感90%以上持続させる。これは、吹雪や雨に晒されることのあるアウトドアでは非常に重要なメリットだ。

 

3、従来の化繊インサレーションのデメリットであった嵩張り、汗抜けを解決

画期的な新素材、新構造により、羽毛ダウンのように超コンパクトに収納可能。

本体のポケットにも収納できる。旧来のナノパフよりも非常に軽量、薄いシェルで包んでいるため、内からの汗の抜けも改善されているように感じる。

 

 

 



②マイクロパフを南米パタゴニア・フィッツロイ山群のアグハ・ギジャメで使ってみた。

 

https://www.instagram.com/p/BgRW3Kzlpju/

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[上写真一番右の岩峰がアグハ・ギジャメ]

 

 

世界で最も天気が悪いことで知られる南米パタゴニアで、実際にこのジャケットを使用してみた。まずはこの動画を見てほしい。

アグハ ギジャメ山頂の風速は25m/s、手元の気温計-10℃を記録していたので、体感温度は-30℃を下回った。(体感温度=気温-風速と言われている)


パタゴニア ・アグハ ギジャメで爆風の中、執念の登頂

 

この日の稜線に出てからのレイヤリングは、下から

キャプリーン4ワンピース(厚めのベースレイヤー)

ナノエアライトフーディー (ミッドレイヤー)

ウルトラライトダウンフーディー (防寒着1)

マイクロパフフーディー (防寒着2)

M10ジャケット (シェル)

 

マイクロパフなどのインサレーションは、強風や雪もある程度防げるので、普段はシェルの上からサッと着てしまうことが多いが、この日ばかりは、稜線に出た途端に爆風に長時間晒されると分かり切っていたので、より暖かく、より防風効果を得られるよう、シェルの下に着込んだ。

 

体感として、パートナーのビレイ(確保)で立ち止まっているときは流石に凍えたが、

動いているときには十分暖かく、丁度良かった。

 

また、アタック時は35リットルのアタックザック(アセンジョニスト35)を2人で1つだけ持って行ったので、コンパクトに収納できるのも非常に助かった。

 

この時期のパタゴニアは、標高の低い位置では雪でなく雨が降ってしまう事もあり、そんなときに万が一濡らしてしまってもアタック時にしっかりと保温性が保証されると言う安心感も、このジャケットが少なからずもたらしてくれた。 

 

そしてこのジャケット、軽い上にクライマーの動きを考慮した裁断となっているので、着膨れした感じがしない。着心地が良い!

 

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垂直に近い氷と岩を登る

 

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以下パタゴニア 公式ウェブサイトより引用

 

メンズ・マイクロ・パフ・フーディ
パタゴニア製品の中で重量に対する保温性が最も高いジャケットです。インサレーションに使用した画期的なプルマフィル(65グラム・ポリエステル100%)は羽のように軽くコンパクトに収納でき、ダウン級の保温性と着心地を提供しながら、濡れても熱を逃さない化繊の特長を発揮します。パーテックス・クアンタム・リップストップ・ナイロン製シェルはDWR(耐久性撥水)加工により風や雪を弾きます。最大限のパフォーマンスを提供し無用な要素を取り除いたデザインで、ヘルメットの下にフィットする軽量でシンプルなフード付き。伸縮性のある袖口と裾を備え、ジッパー式ハンドウォーマーポケットが2つ(補強済みのカラビナ用ループ付きの左ポケットに本体を収納可能)と、内側にハンドウォーマーポケットの裏地を利用した無駄のないデザインのドロップイン型ポケットが2つ付いています。

 

特長
  • 耐水性と防風性を備え、非常に軽量なパーテックス・クアンタム・リップストップ・ナイロン製シェル。DWR(耐久性撥水)加工済み
  • 画期的なプルマフィル・インサレーションはダウンの構造を複製する連続した化繊のインサレーション素材で、ダウンのように温かくコンパクトに収納できるうえ濡れても保温性を維持
  • 縫い目を最小限に抑えながらプルマフィル・インサレーションのロフトを安定させ最大限にする革新的なキルト構造
  • フロントジッパーはストームフラップと、あごへのあたりが快適なジッパーガレージ付き
  • ジッパー式ハンドウォーマーポケットが2つ。内側にドロップイン型ポケットが2つ。左ポケットには本体を収納可能(補強済みのカラビナ用ループ付き)
  • ヘルメットの下に着用できる軽量でシンプルなフード付き
  • 温かさを閉じ込める伸縮性を備えた袖口と裾
  • 264 g (9.3 oz)