Alpine Yudini

クライミングやスキーの記録を書いていきます。

ヒマラヤの未踏峰「ラジョダダ」に世界初登頂するまで その③ 計画篇

さて、アイランドピークは無事に、割とあっさりと登れてしまったが、未踏峰ってどうやって登るんだろうか?そもそもどうやって探し出すの?

 

yudaiclimbing.com

 

ネパール遠征のノウハウは何とか身につけた僕たちだったが、未踏峰への挑戦というのは、まさに手探り状態だった。

 

そんな中、闇雲にリサーチを進めると、「緯度経度、標高、山名」だけが載っている未踏峰リスト104なるリストを見つけ、「おっ、まずはコレから手をつけてみるか」という事で、104つの未踏峰を隈なくサーチした。しかしコレがまた厄介で、遠い昔に登られているピークや、登られているような、いないようなピークなども紛れ込んでいるのである。

 

まず僕らは、僕らなりに104つ全ての山に10段階の評価をしていく事にした。

評価基準は以下の3点を特に重視した。

 

①適度な難易度

これはビジネスでも商売でも同じだろうが、手が届きそうで届かなそうだが、一踏ん張りすれば届くといったギリギリの目標の方が、達成した時の充実度が違うだろうという、自然な流れで生まれた評価基準だ。

 

②標高6500m程度

2年前に登ったアイランドピークが6185mだったので、それよりは高く、でも高すぎてテクニカルなクライミング要素の少ない山にするのも嫌だったので6500くらいが適切だと考えた。

 

③魅力的な山容と独立性

やはり山を登るからにはカッコイイ山を登りたい。また、やっとの事で登った山のその先に、1000mも高い別の山が聳えているなんてことも嫌だったので、評価基準として特に重視した。

 

 

 

そして、これらをチェックするためにGoogle Earthに緯度経度を落とし込んで、評価8以上の山をリストアップした。

ここまでで8つ程度に絞り込んだが、その中には、山岳ガイドの花谷泰弘さんが第二回ヒマラヤキャンプで当時登ろうとしていたロールワリンカンや、地球上の全ての8000m峰に登頂している竹内洋岳さんが、幾度となくトライをしているマランフランなども、絞り出されていた。

この時点で僕らの頭の中では、「プロを名乗る登山家もこうやって調べてるんじゃないか」とある種の手応えを感じていた。

 

そうしてGoogle Earthで実際に探し出した未踏峰ラジョダダであった。

 

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Google Earth 画像1

 

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Google Earth 画像2

 

それから英語やドイツ語のウェブサイトなども隈なく探し、本当に登られてないかチェックする作業を重ねた。

また、2年前にネパールで買い込んだトレッキングマップにも偶然載っており、もっと詳細な地形図を探そうという事で、僕らは日本山岳会の図書館へ出向いた。

 

そして、初めて地形図に載っている6426という数字を見て、「よし!ラジョダダは存在するぞ。キタキタ!」と盛り上がったのは今でも良く覚えている。しかも、地形図には顕著な大きな氷河が二本載っており、山頂まで何とか登れそうな感じだった。しかし頂上付近は険しく、それがまた魅力的だったのだ!

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50000分の1地形図、中央左の6426がラジョダダ



 

一先ず魅力的な山が見つかったので、次にアプローチ、最後の街からアクセスが可能なのかを調べてみた。ここでも2年前に偶然買ったトレッキングマップが大活躍し、カトマンズからバスでアクセスできる最後の町、アルグハットバザールから登山の拠点であるベースキャンプ予定地まで往復200キロを歩けば何とかなりそうだった。

 

その道中には半分までならロッジもあり、その先半分には地図上にhomestayという文字の記載がある。よく分からないが、何かしらの民俗がそこで暮し、トレッカーをホームステイさせてくれるのだろう、と僕らは期待を込めて解釈した。

 

と、ここまででラジョダダの山頂から首都のカトマンズまでが、一先ず地図上では線になったのであった。

 

つづく