Alpine Yudini

クライミングやスキーの記録を書いていきます。

アレックスオノルド×トミーコールドウェル ノーズスピードレコードのインタビューを日本語訳してみた①

2018年6月、時代の最先端をゆく二人のクライマーによって、ヨセミテ国立公園のエルキャピタン、ノーズのスピード記録が更新されました。1000m、5.14までの難易度を含む垂壁の岩壁をなんと1時間58分で登ってしまいました。普通の人は大体3〜4日間かかるルートです...!そんな彼らのインタビューを見つけましたので、和訳してみました。American Alpine Clubプロデュース、アレックスオノルドとトミーコールドウェルによるインタビューです。

ちなみにノーズルートの概要はこの記事を参照⬇︎!!

 

yudaiclimbing.hatenablog.com

 

(長いので何回かに分けますね。今回は最初の15分程度です。)

 

下記リンクは実際のインタビューです(英語)

soundcloud.com

 

 

司会

今日はもちろんノーズのスピードレコードについて聞くよ。

1時間58分7秒。

トミー、スピードレコードは非公式のコンペティションになってるよね

何故今やって、何故、以前にはやらなかったの?

 

トミー

スピードクライミングは少し危険だと思ってて、やる気にはなってなかった

でも興味はあって、アレックスが誘ってくれて、あ、あと前に4時間でハンスと一緒に登ったんだ。それまでそんな事やったことなくて良い経験だった。

 

司会

アレックス、トミーとパートナーを組むのはどうだった? 彼より良いパートナーはいないんじゃない? 

 

アレックス

うん、そうだね。でも2012年にハンスとやった。そのとき2時間切りは究極のゴールだと思ってた。で、2時間23分の当時のレコードを出したんだ。

 

司会

2時間切りに疑問は持たなかった?

 

トミー

確かに疑いはあったよ。スピードクライミングに関する知識や自分のフィットネスについて良く知らなかったんだ。アレックスに聞いたら、とにかくやろうって言われた笑

 

アレックス 

実はフィツトラバースとかで僕らはスピードクライミングの経験はあったんだ。

 

トミー

確かに、それは確かに。システムの練習とかは一緒に良くやったね

でも息の仕方とかはトレーニングした事ないよね、マラソン的な。それは心配だった。

 

アレックス

うん、過呼吸にならないようにしてた。

 

トミー

確かに、ラストピッチはレッドゾーンに入るようにダッシュで登ったけど、それ以外は、ジョギングって感じで登った。

 

アレックス

うん。カジュアルなジョギングみたいに。ラスト数ピッチのボルトラダーだけはダッシュだね、最後の150フィート(50m)

 

司会

どこでそんなにスピードを縮められたの?

 

アレックス

僕らは、たとえ急ごうとしなくても、僕らが使ったシステムを使えば、ふつうに3時間は出せた。

記録してないからわからないけど僕らはトータルで11か12回ノーズを登ったと思うよ、最初は4時間、2回目が3時間、あとは全部2時間台で、最後の方はとてもカジュアルに登ってて、途中でちょっとした練習をしたりしても2時間半で登る事ができた。これは7年くらい前のレコードだよね。そんな中、日々の練習を繰り返してるとその度に記録を更新していったんだ。で、2時間も不可能でないと思った。

 

司会

どれくらいの期間これを計画して、どんなトレーニングをしてたの?ハングボード?ジョギング?

 

アレックス

わからない、計画したのは冬だよね、あ秋だ、秋に一度登って、、、

 

トミー

うん。その時にとりあえず一度登って、十分安全か確かめたんだ。で、安全だとわかった。フォンテーヌブローに1ヶ月半いたりして、慌ただしくて。笑 

時々ジョギングもするようにした。科学的なトレーニングみたいな事はしてない。

 

司会

メンタル面は?

 

アレックス

メンタル面は簡単だった。ルートで何回も練習をしていると、どこにクリップするか、どこでアンクリップするか。ここでのロープドラッグがどう。とか色々改善点が出てくる。

右足があっちで左足があっちなんていうムーブの話もしたよ。1000mの壁でそんなことをいうなんて馬鹿げてるように聞こえるけど、それが最終的にはすべてのムーブをよりスムーズにつなげていくことにつながった。こんなことする人は他にいないよね。

 

トミー

最初の4ピッチは5.15を登る時みたいに全部のホールドにティックマークをつけたよ。それが5.10のクライミングだというのに。

でも、それをやったのは最初の4ピッチ、つまり全ルートの10パーセントに過ぎない。もし全ピッチにティックマークをつけたら、もしかしたらもっと早くなるかもしれないね。

 

司会もしかしたらティックマークを使わないより良いスタイルで2時間を切ろうとするクライマーが出てくるかもね

 

トミーかもね、笑 それはネクトレベルだ笑

アレックス

それは不可能だよ、ティックマークはベータ(コツ)だ。(ジョーク

 

トミー

そういえば僕らが晒された一番の危険の一つに、アレックスがトラバース部分に差し掛かったら変なことがあったんだ。先行していたエイドクライマーがホールドにマテ茶の粉を撒き散らして行ったみたいで。笑

 

アレックス

リンヒルトラバースの大きなホールドには全部マテが乗っかっていて、面白かったよ。だってエイドクライマーはエイドギアを掴んで登るから、ガバにマテをこぼしても、そのガバを実際に掴んで登るクライマーがいるなんて思っていないんだ。笑

 

司会

それは大変だったね笑。

何時に始めて?何時にキングスイングいたの?全部プラン通りだった?

説明してくる?

 

 

アレックス

一番下から言うべき?笑 OK

6時何秒かに始めた。11分でシックルレッジについて、、、。

おお!自分はトミーの100フィート下でスタートした。

僕が最初のアンカーについた時、振り子をして。トミーが3ピッチ目についた時、アレックスが2ピッチめの振り子をして。。。

 

トミー

ところでシックルレッジ(4ピッチ目、約180m)まではカムは3本しか使わなかった。

アレックス、クレイジーだったね。ところどころにピトンがあるけど。

f:id:yudaiclimbing:20180706101529j:image

続きは次回