【冬季小樽赤岩】 東大壁 佐藤ルート
12/2
北大山岳部の若きエース、Yuki Satoと東大壁へ行ってきた。
彼は山岳部現役で5.13aとM10を既に登り、ワイルドなイスカンダルダイレクト5.11b R 初登(未発表)をしたかと思えば、北大特有の泥臭い長期山行もこなす、モチベーションに溢れる男だ。もちろん主食は大量の鶏胸肉のようだ。
彼に限らず北大には11や12を登る学生や若手OBがゴロゴロといる。(もちろんメインは重荷を持ち、泥臭い長期の山をやりながら)
北大は昔ながらの良い伝統を継承しつつ、現代アルパインクライミングの進化に適応し、上手く活動することができている国内最強の山岳部だろう。
我がWSD大学山岳部も彼らのように上の上を目指して欲しいものだ。
さて、今回のトレーニングは記録を書く予定もなかったが、「冬季の東大壁の記録は書く価値があります。」と目を輝かせたSatoに言われたので、久々に重い筆をとることとする。
赤岩は北大山岳部にとって庭のようなものらしく、前を歩いてもらい取り付きまでスムーズに辿り着いた。赤岩初心者の私にとっては非常にありがたい。
1ピッチ目、赤岩特有のロシアンルーレットのようなボロいホールドを頼りに進んでいく。
片腕のフッキングを信じてトラバースする箇所が怖いが、ガチャガチャのクラックに辛うじてきめたカムを頼りに思い切る。
そして最後はまだ凍りきっていないドロに入念にアックスを刺し、テラスへ乗っこす。もう最後のプロテクションは7m下に見えるが、これしか方法はない。何とか突破し、ケミカルアンカーへ。
【1ピッチ目、1番怖いピッチがスタート】
写真:Yuki Sato
2p目は八の字クラックがしっかりしており、1p目と比べると心理的なハードルは大分下がる。グローブ登りとアックスでのフッキングを併用し、スムーズに抜ける。とはいえ、この岩質でのフッキングは怖いので、油断はできない。
【八の字クラックの攻略は八の字が良いと悟るYudai Suzuki】写真:Yuki Sato
【2p目のクラックをフォローするYuki Sato】
3p目はグレードも落ち、傾斜も少し寝てくるので、大分ラクに行きそうだ。この傾斜になってくると、無理にアックスを使うよりもグローブ登りが効率が良い。
トップアウトと共に綺麗な太陽が日本海を照らし、充実のクライミングとなった。
グローブで岩壁を登るこの感覚は、パタゴニアで感じたそれと似たものがあった。世界の壁も、北大山岳部の庭もやる事は同じなのかなとふと思う。
デナリカシンリッジをスキーを背負って登った佐々木大輔氏も、トレーニングにこの岩場を使っていたそうだ。
【ベアール製の青いグローブが調子良い】
【余韻に浸りながらロープを束ねるYuki Sato】
家から1時間のドライブと、30分の歩きでこのクライミングを体験できる赤岩というフィールドは本当に素晴らしいものだと感じたクライミング であった。